勝島王冠(SIII)ダート1800m
【解説】 今回は、オウジ君がキャリアの中で4回も出走した勝島王冠の解説をしてみたいと思う。
2010年は、8月の黒潮盃で重賞初勝利を挙げてから、10月のメトロポリタンオクトーバーOPを2着して臨んだレースであったが、いつもの先行策を見せるも、直線で伸びを欠き、10着に終わった。実は、この時のオウジ君は中間の調整中に熱発をして、調子が良くなかったそうで、この結果は仕方ない気がする。
2011年は、オウジ君の調子も良く、石崎駿騎手が騎乗する1番人気のカキツバタロイヤルを負かせば、という見立てで、石崎騎手も同様にオウジ君が相手と考えていたようである。しかし、結果はゴール前で、スマートインパルスに内からの強襲に遭い、惜しくも2着。 この結果には、意外な経緯があった。スマートインパルスには御神本騎手が騎乗予定であったが、急遽騎乗変更で、短期免許で騎乗していたイギリスの名手ムンロ騎手に乗り替わる。御神本騎手は逃げる戦法を取る予定であったそうで、これをマークして直線でかわすという戦法を描いていたが、ムンロ騎手は逃げず、ゴール前での見事なイン強襲。オウジ君自身は相手と考えていたカキツバタロイヤルを負かしていたので、「たられば」は禁物であるが、御神本騎手がそのまま騎乗していれば、結果が違った可能性があり、何とも運がない・・・。
2012年は、脚部不安で約1年の休み明けで迎えたレースであったので、これも仕方ないだろう。
2014年。これは強いレースだった。オウジ君は序盤、先行するトーセンアドミラルとガンマーバーストの争いに、かかり気味に加わり、ハイペースを演出してしまう。レースは、最後方から追い込んだハブアストロールが豪快に差し切り、2、3着も差し馬が入る展開の中、オウジ君は、直線に向くと一旦先頭に立ち、4着に粘る本当に強い競馬であった。
レース解説としては以上であるが、今回はオウジ君が4回出走したレースということで、各年の比較をしつつ、オウジ君の馬場や季節に対する特徴について触れてみたい。
【表1】
【表2】
表1はオウジ君が出走した勝島王冠の馬場条件等で、表2はオウジ君の全キャリアにおける馬場条件別の成績である。データから見ると、馬場が悪くなると、オウジ君は成績が下降気味であることが分かる。これを表1の勝島王冠におけるオウジ君の成績に当てはめると、不良馬場であった2012年と2014年はやはり成績が良くないことから、傾向としては大体合致する。 しかし、オウジ君を現役の時に担当していた厩務員さんの話では、「騎乗した騎手から雨馬場が良くないというコメントはなかった」とのことで、あまり関係はないそうである。こうしたことは、データ分析だけでは分からないことで、非常に興味深い。
さらに、季節別のオウジ君の成績も見てみたい。
【表3】
表3から、オウジ君は冬季の成績が良くない。これについては、担当厩務員さんによれば、 「冬場は馬体が絞りにくく、今思えば少し無理をさせていたかもしれない。逆に、夏場には強く、調教で無理せずとも馬体が絞れていた」と振り返っている。こちらは、データ結果と同じであった。
今回は、レース解説にプラスして、馬場条件や季節に対するオウジ君の適性や特徴等も書いてみました。ご協力下さった、オウジ君の担当厩務員であった酒井さん、有難うございました。 |
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